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2020年1月

みちのくの海の俳句として

> みちのくの海の俳句として

 

>みちのくの今を生きる 海編  

  

  私は海上の構造物築造土木技術者として四十余年の経験から、

 毎日のように海の句を作る機会を得られた。

 

  

   夕焼けを使ひ切つたる作業船       学

 

  十数年前、「滝」月例句会で菅原鬨也前主宰に初めて認められた

 俳句と自負している。

  「夕焼け」の季語が効いている事、独創的で生活感もあり

 佳作であるとの評価であった。

  しかし、東日本大震災の大津波に襲われた海岸部の崩壊、

 その被害を見るにつけて、海を見る見方も変わってきた。

 そんな折に、平成三十年十二月十九日朝日新聞夕刊用に十二句

 の原稿依頼があった。

  題「みちのく」として発表した句を示す。

 

    みちのくの深き黙あり牡蠣筏      学

 

  震災後の復興再生の南三陸の海の姿である。

  そして最後の句として、

 

    みちのくのざらつく空や冬木の芽    学

 

 

   以上 2019 俳誌「滝」10月号より。

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抒情詩の俳句として

> 抒情詩の俳句として

 

> 感銘した叙情詩の俳句について書かせて頂く。

 

     原子炉の無明の時間雪が降る    小川軽舟

 

  叙情俳句として掲句を取り上げたのは小川軽舟の自句自解

 の次の文章に感銘したからです。

「福島の原発事故でメルトダウンした原子炉に雪を降らせたのは、

 無意識のうちにこの現実を忘れることを願ったのかもしれない。

  しかし未だに忘れることができないまま、そして無明の時間が

 どれほど続くのかわからないまま雪は降り続けている」

(俳句四季、平成三十一年一月号)という事を思い出したためです。

 

> 小川軽舟の弥生的志向、そして「忘れることと思い出すこと。

 あるいは消失と再生―雪にはそのような作用がある」という雪の世界観、

 その面から捉えると、「水」という物質は分子の配列や構造の変化により

 自然界では見えたり消えたり様々に変容するが、本来水である雪も同様に

 変容する。

  その二律背反の概念を含む変容により、上五中七の「原子炉の無明の時間」

 このシリアスな事態、それを切り、一挙に「雪が降る」という現実の時間

 に反転させてしまう。その冴えは現代的題材において、

 叙情詩の世界を更に拡大していると感じ入った次第です。

 

 以上 俳誌「滝」に掲載した文章です。

 

 

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2020年版 俳句年鑑(角川)100句選

>2020年版 俳句年鑑(角川)100句選は

 正木ゆうこさんの100選でした。

 この選に 私の句が選ばれてある。

 どのような経緯かわからないので少し考えてみる。

 

>私が知る限り正木ゆうこさんは行方克己氏と二人だけの句会をしており

 読売文学賞を受賞後は10年前程から読売新聞社の俳句選者、角川俳句賞選者

 等をしている。

  今回はどのようにして私の句が選句されたのか、解らないが、想像して

 みる事とした。

 つまり、それを実証する切欠がこの100選に

 

>   白露の即ち君とゐる如く       赤間 学

 

 が秋のグラビアページに選ばれているから。

 

  この白露(しらつゆ)の句を掲載されて本は

 俳誌「滝」主宰成田一子 10月号だけである。

 この俳誌「滝」故菅原鬨也氏(長女成田一子)は 15年前の

 第50回松島芭蕉祭中央選者として正木さん・長谷川櫂氏を

 招聘した際の地元選者の縁で、俳誌「滝」を寄贈している。

 つまり、この10月号の瀬音集の中

  「八月」               赤間 学

  白露の即ち君とゐる如く

  あかつきの色残りたり芋の露

  ひぐらしのいつしか吾子の眠りたり

  八月やくり返し聴くソノ・シート

  一粒の露亡き人の星結ぶ

  八月の折鶴に息吹き込みぬ

 

 から選句したとしか思われる。他に発表していないので。

 因みに、雛壇(1ページ瀬音集・瀑声集から20人1句の壇)

 6句では 副主宰 石母田星人氏(石巻かほく選者)では

  八月の折鶴に息吹き込みぬ     を選句してある。

 尚、雛壇の滝集(成田一子主宰選)20人1句には選句されていない。

 

> この俳誌「滝」の状況から推測すると、総合雑誌、角川俳句、

 俳句四季、俳壇等の作品群、月500句×3冊×12月=18,000句

 又 滝等の俳誌(全国的に大小2000団体)の中から正木さんへ

  寄贈俳誌は200~400団体と思われる。一団体は500句程

 ゆえに300×500句=150,000句から選されたと思われる。

  このことを考えると、このように全国の俳誌から今年の100句

 を選句するとは、気のとおくなる作業からの選句と考えられる。

 それを思うと、正木ゆうこさんの凄さが、着実な歩み、真摯に俳句に

 向き合っている姿勢が見えてきた。

 

 

>2019年度 100選 正木ゆうこ選 の中から赤間学推薦句

 

> 新年

    数の子の薄皮夢と洗いたる         寺井谷子

    

    ヒマラヤを火群のごとく初日かな      中村和弘

 

    くろがねのものはかがやき節料理      片山由美子

 

    楪やその紅をこそ譲れ           有馬朗人

 

    歯朶の白わが白髪の月日かな        宇多喜代子

 

    磯の井の思はぬ深さ初鴎          友岡子郷

 

    謡初微醺ながらも膝揃へ          三村純也

 

     松明けのビニール袋の口はどこ                     池田澄子

 

>春

   春耕や背よりも高く土放り          今瀬剛一

 

   ひと吹きにとりかこまれぬしゃぼん玉     鷹羽狩行

 

   ぶら下がりながら羽ばたく花の中       岸本尚毅

 

   夜の森の櫻よ杳き日の櫻           黒田杏子

 

   江の島の裏はしずかな花吹雪         長谷川櫂 

 

   春宵や琴の全弦なだれ弾き          小林貴子

 

   節穴に紙つめてある蚕飼部屋         柏原眠雨

 

> 夏

   何処より呼ばるる我か更衣          石田郷子

 

   牛飼の束で買ひゆく蠅叩           橋本栄治

 

   大つぶの雨へ飛び出す雀の子         井上康明

 

   隼の掴み上がりし蛇の丈           高橋睦郎

 

   肥後守蛇の匂ひのこびりつき         行方克己

 

   ぎしぎしの花や芥の灰に熱          夏井いつき

 

   茅舎忌の猛暑ひきずり草田男忌        竹中 宏

 

   頬骨の若返りたるかき氷           佐怒賀正美  

 

   階も扉もあやしき夏の夢を見る        高山れおな

 

> 秋 

   白露の即ち君とゐる如く           赤間 学

 

   大阪にアジアの雨や南瓜煮る         小川軽舟

 

 

   流燈のひとつ石牟礼道子の火         岩岡中正

 

   龍胆の枯るゝ草塊根を温め          宮坂静生

 

   法螺貝の口金あまし秋の山          小澤 實

 

   松茸が豊作といふ周囲かな          矢島渚男

 

   口堅き人と誘はれ茸狩            茨木和生

 

   雨音に耳慧くをり菊枕            能村研三

 

   木の実降る声がことばとなる子ども      対馬康子

 

   柞の実鹿飼ふほどの財成さず         大石悦子

 

   林檎食ひながら詣でよ我が墓は        高柳克弘

 

   山あれば空悠々と新豆腐           奥坂まや

 

   木犀の香に新しき高さあり          星野高士

 

>冬

     旅多きことに冬めく思ひあり         稲畑汀子

 

   にんじんの葉のこまごまと吹かれをり     梶未知子  

 

 

   月いろのラストオーダーの浅漬        大木あまり

   

   コンテナにカラオケの文字冬怒涛       関 悦史

 

   大寒や心尖れば折れやすく          西村和子

   

   公魚を釣りし手応へ今もあり         大串 章

 

   魔が差すごとく白鳥の翳るなり        中原道夫

 

   押し合へる二輪もありて梅早し        深見けん二

 

  以上

 

 

>2020年 令和二年 明けましておめでとうございます。

 今年も 見て戴ければ幸いです。

 

 

 

> 今年は初めての句は

 

>  遙かなる瀬戸の海光木の葉散る 

>  末枯や光の粒の石の川

>  ブロッコリの山より一つ選ぶなり

>  歌枕訪ねし里のしぐれかな

>  お元日ことに小春の書を膝に

>  ハンドルに遊びありけり寒雀

>  洗ふたび深まる藍や冬の川

>  仕事帰りの身寒暮に透きてゆく 

>  天地のいのちのこゑや初景色

>  寒雷の奔る地球の夜明けかな

 

 

> 「雑煮」

>  それぞれのふるさとにある雑煮かな

>  藤蔓の太く捩じるゝ淑気かな

>  吾子の射る弓に襷の春着かな

>  円に接する直線や福寿草

>  この宇宙より一本の大根引く

>  除染田に客土の山や日脚伸ぶ  

 

>じゃまた

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

   

 

 

 

 

 

 

   

 

   

 

   

 

   

 

 

 

 

   

 

        

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

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