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俳誌「ひいらぎ」7月号「連載」名著トレッキングに句集「福島」の書評掲載。

>俳誌「ひいらぎ」7月号 主宰 小路 智壽子(師系 阿波野青畝)

 神戸市灘区、俳人協会、 p18,19に「連載」、

 名著トレッキング(八十四)として平田青雲氏により

 句集「福島」の書評を掲載して頂きました。

>感謝します。

 

>赤間 学句集「福島」

 

>著者は昭和二十三年宮城県大郷町生れ。

 同四十一年宮城県内高校生俳句吟行会に参加。

 同四十四年弘前大学同人誌「飛土」創刊同人、

 後に社会人として「斜坑」創刊同人。

 平成四年俳誌「滝」創刊時に入会。

 同十六年同人。同二十二年編集部長。

 同二十六年宮城県芸術協会文芸賞、 同県俳句協会賞正賞、

「滝春秋賞」受賞

 同二十七年「滝賞」、現在「滝」同人。青磁会「会員」。

 公益法人日本伝統俳句協会会員で仙台市にお住まいである。

  この書は第一句集で(帯紙)には「東日本太平洋沿岸

 の港湾施設や津波用河川水門等を建設する土木技術者

 だった私は、東日本大震災によって、長年自分が手掛けて

 きた構造物が一瞬にして崩する壊という大きな喪失感に

 襲われた。

  震災後、復興・再生事業に従事し、近年では特に福島

 について句作を重ねてきた。いくらかでも「福島」の「今」

 を切り取れていたならば幸いである」とあり、

 <福島の火蛾にならねばならぬかな>

の一句を掲げる。

  私も著者の想いに沿い、東日本大震災、特に「福島」

 について、感動句を年度別にトレッキングしてみよう。

 

(2011年)

  春恨や海のめり来る逃げて逃げて

 

  棺なく花なく野火の錢(はなむけ)か

 

  仰向けに眠らせてやる花の下

 

  凩や瓦礫は今も街の中 

 

  万感胸に迫る上五、海上の漁船や陸上の建物を根こそぎ押し

 流し来る津波を活写する中七、恐怖に戦き叫ぶ下五と圧巻だ。

  東日本大震災の地震と津波による被害は甚大。東北と関東

 地方の太平洋沿岸での死者は無残。棺も花もなくはなむけは野火。

  一瞬の津波による死者は一時廃虚や海岸に様々な姿態で放置

 されたが、家族や隣人達が後に葬礼に従い花下に安置した。

  三月の大震災から八か月、凩荒ぶ初冬になっても街中には

 まだ瓦礫が残り、復興がままならず、原発被害の街は更に酷。

 

(2015年)

   被曝の町の泡立草と信号機

 

   秋茄子と回覧板は笊の中

 

   新米の線量記すペンの先

 

   冬すみれ被曝検査を受けにけり

 

  東日本太平洋岸でも福島県は原子力発電所の事故で放射能が

 洩れ被害が重なった。被曝の町は、住民が避難し、まだ無人。

  震災から四年経って今も、被災には転居できず避難所暮らし

 の人も多い。日々の暮らしは不便で、笊がつなぎ役である。

  原子炉から洩れた放射性物質は大気中に拡散して大地を汚染

 したが、新米の被ばく検査をするその眼は数字に鋭く光る。

  「被曝検査」は放射線の汚染度を計る。放射線量検査は、、人体

 や家畜、農水産物に限らず、環境浄化のため草木にも及ぶ。

 

 

(2016年)

   いなだ東風いまも同居の仮住ひ

 

   浜の転覆船に潮満つる夏

   

   汚染水のタンク増設秋暑し

 

   冬日抱き白き服ゆく廃炉棟

 

  震災から5年。被災地では今なお仮設住宅で同居生活を送る世帯

 がある。浜から少し寒い春風が吹くが、未来は如何ばかり。

  テレビで見たが、大きな船が浜に打ちあがっていた。津波の大きさ

 が推測され、防災の教示に保存の声をあるようだが。

  発電所の敷地に立ち並ぶ汚染水タンクは増設が続くが、汚染水の

 処理ができるまで増設は続く。汚染土の袋共々目の毒だ。

  放射線害をなくすには原子燃料を取り出し廃炉が必須。棟には

 放射線防御の白服を着た作業員が働くが、廃炉の道は長い。 

 

 

(2017年)

 

   海隠す防潮堤や冴え返る

 

   メルトダウン後の春の闇の冥(くら)く

 

   除染女の日焼の顔にマスク痕

 

   大海にセシウム洩るる炎暑かな

 

 

  津波から六年。海岸には高い防潮堤ができ人が暮らす陸と魚貝

を漁る海を断った。防潮堤の功罪が心配,作者は冴返るとした。

  「メルトダウン」は炉心が高温になって、核燃料が溶ける現象。

溶けた核燃料を原子炉から取り出のは非常に危険で困難の由。

  屋内でなく汚染地域の野外で作業する人は日焼けをするが、顔に

 大きな防御マスクを付けるからその痕が白く残る。

  「セシウム」は放射能汚染水にも含まれて人体に有害。地下水

   から海に洩れないように防護壁を作る等しても洩れは続く。

 

 

(福島 2017年)(日本伝統俳句協会賞30句、佳作一席受賞作から)

   

   桜東風解体進む仮設かな

 

   一時帰宅花野の雨となりにけり

 

   秋天や福島ザブザブ洗ひたし

 

  去年の「いなだ」が「桜」東風になり、「仮住ひ」が「解体進む仮設」

 になって喜ばしい限りだ。仮設からの幸ある転居を祈る。

  立入禁止地区の除染作業が進み、やっと「一時帰宅」が可能になった。

 荒れた屋内の整理をされるご家族の姿が彷彿する。

  一時帰宅が許されて、除染は未だ遅々たるもの。この秋天下、福島を

 丸ごと、徹底的に「ザブザブ」と洗いたいものだ。

 

   被災者のその後聞きゐる夜長かな

 

   一行の詩の祈りや冬の星

 

   去年今年(こぞことし)消してはならぬ村ひとつ

 

  福島の被災者は地震・津波の被害に加えて原発事故が重なり過酷

 である。隣人や知人の被災後を聞く懐かしくも辛い夜長である。

  「一行の詩うた」は俳句だろう。冬の星を仰いでの「祈り」は、

 世の安穏、早期のふ復興・被災者等だろうか。珠玉の一句。

  除染が終り、帰郷が許可されても、帰郷する人、望む人は極端に

 少ない。だが、生まれ育った郷土は一村をもなくせないという決意。

 

  発行所 「朔出版」(さくしゅっぱん)発行年2018.11.1  

 書評住所 三重県松阪市垣鼻町1223

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

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