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青磁会 中山一路会長 雁渡る民族絶えて言葉絶え 学 鑑賞

>私は青磁会会員です。
 十年程前に利根川橋梁や鬼怒川堤防水門築造をして
 いたときに、茨城県常総市水海道の図書館での句会
 に参加させて頂いたのが初めでした。
 その会長である中山一路先生からの鑑賞です。
>雁帰る民族絶えて言葉絶え   学


  近代文明の発達は人類に数知れぬ恩恵をもたらしたが、

 その一方で多くの歪みを生じたことも亦事実である。

 例えば人類史的に見るとアメリカ大陸の開拓によって、

 先住民のインディアンが大陸の片隅に追いやられてし

 まったのは周知の事実。同様の現象はオーストラリア

 の先住民アポリジニも同様。

  日本の場合はこれらの国々よりもさらに早い。北海道

 樺太、千島列島などに古くから居住したアイヌ民族は

 倭人や露人の進出によって、片隅に追いやられ、細々と

 その命脈を保っている。

  この句はそのアイヌ民族とアイヌ語の衰退に深く心を

 寄せ、その悲哀に寄り沿った句であろう。

 「民族絶えて言葉絶え」という強い断定の表現によって

 作者の深く熱い思いが噴出すように表現された。

 ことに下句「言葉絶え」の表現が重い。

 言葉が絶えるということは、その民族の歴史、伝統、文化

 などがすべてこの世から消失してしまうことに繋がる。

  作者はそうした北方の先住民に寄せる深い思いを雁の

 北帰行に重ねて吐露したのであろう。遠い北国に向かう

 雁のこれから先の長い旅路とその困難に思いを馳せ、

 無事に目的地まで辿りついてくれよ祈る気持ち。

  それに、片隅に追いやられ、やっと命脈を保っている

 先住民に対する思いが渾然と融け合って隙がない。

 俳句には珍しく叙事詩的な名句と思う。


>中山先生ありがとうございました。

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