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句集「福島」 Ⅱ章 東日本大震災後 2011年

句集「福島」 Ⅱ章 東日本大震災後 
 
  2011年
>文字のなき紙一片や牡丹雪(ぼたんゆき)
>春浅し津波ひたひた陸奥国府(むつこくふ)
>春恨(しゅんこん)や海のめり来る逃げて逃げて
>新聞紙に釘付けになる朧(おぼろ)かな
>炊出(たきだ)しを知らせる鉦(かね)や梅真白(うめましろ)
>繋(つな)がりし携帯の灯や春火垂(はるほた)る
>能面(のうめん)を脱(ぬ)げず脱(ぬ)がざる凍(い)てし春
>棺(ひつぎ)なく花なく野火(のび)の贐(はなむけ)か
>蔵王見るまんさくの咲く処(ところ)から
>蓮華田(れんげだ)の先で鉄路の途切れけり
>三陸の空しならせて鳥帰る
>目刺焼き余震が来ると身を固め
>仰向(あおむ)けに眠らせてやる花の下
>頬杖(ほおづえ)の指の冷えけり菜種梅雨(なたねつゆ)
>つばくらめ流失の家探すかに
>陽炎(かげろう)の人ら柩(ひつぎ)を掘り出しぬ
>水道管枝分かれして春の空
>小さな春の日溜りや灯浮標(とうふひょう)
>万力を締め上げてゆく鳥雲に
>日高見(ひたかみ)の長き暮色や行々子(ぎょうぎょうし)
>たましひの色貰(もら)ひたる火垂(ほた)るかな
>東北は背骨真直(せぼねまっす)ぐ甲虫(かぶとむし)
>話し込む一人は拝む不如帰(ほととぎす)
>蜥蜴(とかげ)鳴く万葉人は膝立てて
>漆黒(しっこく)の闇に魚(うお)をり月見草
>沙羅(しゃら)の花はやゆふ(う)ぐれの水に浮く
>凶報(きょうほう)の他(ほか)なに待たむ夏椿
>漢(やから)をり泰山木(たいさんぼく)を見てをりぬ
>夕焼の馬の身に沁(し)むその途中
>封鎖してジャングルジムは灼けてゐ(い)る
>蒲(がま)の穂や被災ラジオの尋ね人
>福島は福島であれ夏の海
>土器(かわらけ)に箆(へら)の痕(あと)あり稲の花
>黒胡麻をずりずり摺(す)つて野分(にわけ)かな
>鎌池(かまいけ)と鉈池(なたいけ)のあり紅葉山(もみじやま)
>秋の日や蔵の漆喰(しっくい)地まで塗(ぬ)る
>凩(こがらし)や瓦礫(がれき)は今も街の中
>暫(しばら)くは焚火(たきび)に滅ぶばかりなり
>指揮棒のしはぶき止むを待ちてをり
>暁(あかつき)に裸木(はだかぎ)の他(ほか)なかりけり
>冬の蝶電球の灯(とも〉りつつ消ゆ
>この空の齎(もたら)す寒さ言ひ別る
>海深く雪あたたかく息をせり
>人類に尾てい骨ありペチカ燃ゆ
>雪しんしん絵本の兎動きけり
>降る雪や書きつつ文字の濃くなりぬ
>俤(おもかげ)の消ゆるはいつも雪の中
>雪原に機関車の音赤き月
 次ページは 2012年に続きます。

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